KLX250SRのフロントフォークをオーバーホール

フォークオイルが漏れてしまったのでオイルシールを交換!

満を持してヤフーオークションで手にいいれた憧れのKLX! 買ったときからフォークオイルが漏れていた。フロントサスのオーバーホールなら自分でできるからまあいいか考えていた。そしてついに直すことにしたのだ。

スパーダの正立フォークをオーバーホールしたときは結局バイクショップにいってエアーインパクトレンチでネジを外してもらったけど、今回はどうか? けいことまなぶチャンネルでやっていたエンスーオフロードバイクメンテナンスをみると、インパクトレンチが無くてもできそうな感じだったが… 果たしてどうか?

オーバーホールはフォークの下にあるボルト(ダンパーバルプボレー)を緩めるときに中身が空回りして緩めにくいとこが難関。

フォークのオーバーホールをするにはオイルシール、ダストシール、その他Oリング、ガスケットなど。そしてフォークオイル。

KLX250SRのフォークオイルは片方540ml必要で、左右やるなら1Lでは足りない。ちなみにオイルレベルで合わせる場合は1040mlでも足りない、というのもオイルを充填させるには少し多く必要。

僕はヤマハのカートリッジ用オイル(1L2000円)を使用した。でもカワサキ純正の方が少し安い(1500円くらい?)。粘度は対して変わらないのでいいか〜

オイルシールとダストシールは左右合わせて3000円くらいだったかな?

エアインパクトレンチを使わない場合は、フォークを外す前にフォークのボトムのボルト(シリンダバルブアッシ)を緩めておきたい。

エンスーではフォークをストラップなどで縮めた状態にして一気に回す、と紹介していた。でもってそのまま空回りもせずに回せていたので、インパクトレンチが無くてもいけるのかなと思ったが、空回りしてしまった… この時点で不安になった。締め直すことももうできないし。

いきなり先行き暗い…

でも、車体についてないとバイスでも持ってないとこのボルトを緩めるのは辛い(フォークがつかみにくいので)。締め付けトルクは54Nmなので。この状態でも硬くて緩めにくかった。

不安はあるけど、このまま作業を続ける。この方法ならインパクトレンチ無しでいけると思い込んでいたので不安。まあ、ダメだったら近所の車の整備工場にでも頼もうかな、なんて考えてた

フォークを外すには前輪を浮かせる必要があり、後から硬くしまってるアクスルシャフトやブレーキキャリパを外そうとすると不安定になりかねないので、先に緩めておく?

R1とかならそうするんだけど、KLXの構造的に前輪の右側を先に緩めていいのか?というとこがあるのであとでやったほうがいいのかな? ということで後でやった

オフロードは車高が高いのでパンタグラフのジャッキとかでは前輪を上げにくい(高さが不足)

そこで新たにあみ出した補助ジャッキ二個を使う方法。

まず右側のフレーム下部の出っ張ったところ(足のつま先をガードする?)あたりにジャッキを置く

で、車体を右側に起こして先ほどのジャッキに当てて、車体を浮かす。バイクを持ったまま脚でもう一方のジャッキを左側の同じ場所にいいれる。

こんなんで前輪がぎりぎり浮きました。オフ車用のスタンドを買うよりも安いのは確か。1000円弱。

で、アクスルシャフトを抜いてホイールを外す。

フォークガードも外す。

フォークを固定している上のボルトを緩める

そしてフォークトップボルトを緩める。ここで緩めるのは後からではフォークが固定しにくく回しにくくなるため。ここでは緩めるだけでいい。

フォークを固定している下のボルトを緩める。

この時点ではまだフォークは落ちてきません

マイナスドライバーを突っ込んで、ぐいっと広げてフォークを引き抜く

フォーク抜けた〜

インナーチューブに傷がつかないように注意した。

この時点でバイクショップかどこかにいいって、フォーク下の空回りしているボルトを緩めてもらおうかと思ったが、お店としてはあんまりいい気はしないかもしれない。なんといってもかっこ悪い。なーんて考えてもうちょっとがんばることにした。

でも、以前スパーダで2回ほどYSPでやってもらいました。

ゴミが入らないようにココからは室内で作業。ダンボールをしいておくとオイルがこぼれても安心

フォークトップボルトを外す。車体についているとき緩めれば簡単

外すとスプリングとか出てくる。

で、フォークトップボルトを固定している六角ナットをスパナで固定してトップボルトを外す。

サービスマニュアルには専用工具でスプリングを押し下げて外すように書いてあるけど、スプリングの間からスパナを差し込むことができるので無くてもOK

外した

トップボルト、ワッシャ、スプリングを抜く

オイルを抜く。オイルパンは100円の靴箱。

ダンパーロッドやフォークをストロークさせてアラカタオイルを抜く。

あんまりフォークをストロークさせるとオイルシールを傷つけるので注意したい。今回は交換するのが目的なのでいいけど。オイル交換だけだったら注意したい。

カワサキ純正のオイルは緑色。ここまでライムグリーンですか?

この状態でダンパーロッドを引っ張った状態でフォーク下のボルトを回せば空回りせずに回せるかと期待したが、やっぱりダメでした。

本来はフォークシリンダホルダという工具を使って固定することになってるんだけど、そんなの持ってない。やっぱりショップに行かなきゃダメか? なーんて考えながらフォークをよく観察

フォークの中を良く見ると、もしかしたら専用工具を自作できるのでは? なんて思えてきた! いろんなところの寸法を測って自作専用工具を妄想。

いざホームセンターへ!

で、買ってきた者ども。まず鉄パイプ。外径28ミリ以下、内径22ミリ以上がほしかったので、ちょっと探して外径25ミリ、内径23ミリを買ってきた。700円くらい(でもなぜか150円くらいで買えた)

で、パイプを固定する金具。

プラスチックのチーズは使わなかった。

鉄パイプをカナノコでこんな感じに加工。この爪がフォークの中身にすっぽりはまりこむ予定。サイズは適当。

バリを棒やすりできれいに落とす

カナノコもヤスリも100円で買った奴。

反対側は買ってきた金具と持っていたアングルをくっつけてパイプを固定できる取っ手みたいなものをつける。

で、フォークの中にこの自作専用工具を突っ込み、ちょっと回してみるとしっかかかった手ごたえ! これはいけそうだ!

で、シリンダバルブアッシを回したら空回りせずに回ってくれた! 

「感動した!」

やっと取れたダンパーバルブ。

プッシュロッドとシリンダユニットを抜く。

シリンダユニットのこの4個の切りかきにさっきの工具をひっかけていたので。

こんな感じ

ダストシールをマイナスドライバで外す。インナーチューブに傷がつかないように慎重に。

するとなかからティッシュが出てきた。オイル漏れの応急処置でこんなことやるときあるみたい。

オイルシールを固定しているリテーニングリングを外す。小さ目のマイナスドライバでやれば取れる。やっぱりインナーチューブに注意

ココまでやったらインナーチューブとボトムケースをストロークさせ、衝撃で分離させる

外れた。

2個のガイドブッシュ、ワッシャ、オイルシール、リテーニングリング、ダストシールを取り外す

ガイドブッシュの内側、または外側についている樹脂(テフロンかな?)はまだまだ問題ない様子。

チューブを立てにおいてなるべく古いオイルが取れるのを待つ。パーツクリーナーで洗ってしまうのもいいか? オイルと混ざってしまし完全に乾くわけではなさそうなのでやめたほうがいいか?

外した部品は金属のトレーに入れとくと便利。100

一息ついたら組み立てを開始する

まずはインナーチューブにオイルシールなど入れる

オイルシールを入れるときにカラーのはまる溝などでオイルシールが傷ついてしまうのを防ぐためにビニールなどでカバーしてから入れる。僕はラップをかけてやっている。

まずダストシールを入れる。内側にグリスを塗って無理なく入れる

リテーニングリング(クリップ)を通しておく

そしてオイルシールを入れる。これも充分にグリスを塗りやさしく入れる。

オイルシールは方向があるので注意。平べったいほうが車輪側

ココから先はラップを外し、ワッシャ

内径が広いほうのガイドブッシュを入れる。スライドする部品には軽くグリスを塗っておくと良いとのこと

狭いほうのガイドブッシュを入れる。

インナーチューブは準備完了

アウターケースに入れる。

まずはガイドブッシュを圧入する。オイルシールとガイドブッシュを同時に打ち込むこともできるけど、今回はうまくいかなかったので別で入れることにした。

ガイドブッシュ上のワッシャをフォークオイルシールプッシャ(スライドハンマー)でたたいて打ち込む。シールプッシャはアストロプロダクトでB級品で安かった奴(3000円くらい)。この日のために2年前にかった?

塩ビパイプで入れることもできるが、倒立の場合は半分に切って使うので結構大変と聞いたことがあるので、安売りのときに買っておいたのだ。

続いてオイルシールを圧入。

リテーニングリングをはめる溝が出てくるまではめる。

リテーニングリングをはめる。次にダストシールをはめるけど、その前にオイルシールとダストシールの間にグリスを入れておくと乾いた土が入るのを防げる。

シリンダユニットを入れる

そしてシリンダユニットをボトム側からシリンダバルブアッシのネジで締める。やっぱり空回りしてしまったので自作工具を使って締める。ちょっと締めれば後は普通に締めることができる。54Nmなのでムリにココで締めずに車体につけてからでもいい。

ガスケットとオイルシールを新品にする(ぼくはしてませんが)

そしてねじ山にはネジロックを縫っておく(僕は次に分解するときに厄介なので塗らない)

しっかりトルク管理。でもこの状態で54Nmのトルクで締め付けるのは困難なのでなるべく締めて、車体につけてからホン締めすることにした。

フォークを立ててオイルを入れる。

アウターとインナーの間にもオイルを入れる必要があるためアウターの上のほうまでたくさん入れる。そしてインナーチューブの上のほうにはオイルを通すための穴があるので、それよりオイルレベルを上に保った状態でフォークをストロークさせてオイルを各部に回しエア抜き

ダンパーロッドも数回ストロークさせて、泡が出てくるまで5分くらい待つ。

スプリングガイド(白い樹脂。斜めに待ってるほうを下)、スペーサー、ナットをつけておく

次にオイルレベルを調整。

オイルレベルは97mm±2mm。スポイトにその位置に洗濯バサミをセット

オイルレベルはフォークを縮めた状態で調整する。

先ほどの洗濯バサミをアウターの上端にセットして吸い取れば簡単にオイルレベルが合わせられる。

スポイトはホームセンターで100円くらい

ダンパーロッドにハリガネかなんかを引っ掛けておき、その状態でスプリングをセット。ハリガネを引っ張ってダンパーロッドを引き上げる。

ハリガネは外しやすくつけておいたほうがいい

で、ワッシャ、トップボルトをつけてスプリングを少し押し下げてセット。外すときと同様にスプリングの間からスパナを入れて締める

で、アウターチューブを上げて、トップボルトを締めて終り。トップボルトのOリングは新品に交換(僕は買っていたけど交換してない)

車体にセット

上端は10ミリ飛び出させるのが標準。

下のボルト締める。23Nm

トップボルト締める。締め付けトルクは29Nm

ハンドルを外すのが面倒なのでスパナで締めた。

上のボルトも締める。20Nm

スピードメーターギヤをセット。でこぼこのとこをあわせる

アクスルシャフトを通して締め付け。88Nm

フロントアクスルクランプナットを締める。上二つを締めてからした二つを締める。9.8Nm

で、うまく締められて無ければフォーク下のシリンダバルブアッシを締める。54Nm

コンプレッションダンピングを調整。フォーク下のシリンダバルブアッシのところにある。キャップが着いてるのでマイナスドライバで外して調整。時計方向に一番回したところが0、標準は12クリック目

前輪を浮かせた状態で調整する。

完成!

なんとかエアインパクトレンチも専用工具も無しでフロントフォークをオーバーホールできた。やっぱりフォーク下のボルトが空回りするのが難関でした。
KLX
はフォークの構造上ホイールをつけたままでも下のボルトが緩めたり締めたりできるけど、オンロードの場合はアクスルシャフトが邪魔で締められないので、締め付けトルクにとってはやりにくいかも? R1はできるのかな?



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