スパーダのフロントフォークオーバーホール(オイルシール交換)
長年バイクに乗っていると、フロントサスペンションからオイルが漏れてきます。これはフォーク内のオイルが出てこないようにしているオイルシールが劣化したり、フォークの錆やキズにより傷ついてしまうとオイルが漏れてきます。この修理をショップに頼むと左右で2万5千円くらいかかるのです。この価格と、別に漏れていても影響が大きく現れてこない事から、ほっとく人もいるんじゃないでしょうか? わたしもその一人です。スパーダを手に入れたときからすでに漏れていて、もう2年以上漏れっぱなし!(内1年以上熟成期間がありましたが…)そろそろ直そうかな… でもおかねかかるから自分でやろう… と、サービスマニュアルも手に入れてやってみることにしました。
本番に先がけ、壊れてしまったNSR250R(フォークが折れている)で練習してみました。(ちょっと自信を付ける)
オイルシール交換で必要になりそうなマニアックな物は
1.トルクレンチ |
なくてもできないことはない。1980円で購入 |
2.スライドハンマー |
五千円くらい。無ければフォークパイプの外径より少しだけ内径の大きい塩ビパイプ |
3.新品のオイルシール |
シールセットで三千円くらい |
4.新品のダストシール |
交換しなくてもだいジョブですが、たぶんオイルシールとセットになってます |
5.エアインパクトレンチ |
なくても多分大丈夫。買うとコンプレッサーが1万くらい?レンチが5000円くらいから?それでまわるのかな? 電動のインパクトなら7000円から? それで回るのかな? |
6.サービスの良いバイクやさん |
あるにこしたことはない。僕の場合YSPモトフェニックス筑波学園店、SKG |
7.手伝ってくれるひと |
いるにこしたことはない。 |
8.サービスマニュアル |
ないとオイルレベルとか分かりません。 |
9.フォークオイル |
ないと困ります。左右で1リットルあれば足りそう。1千8百円〜3千円 |
オイルシールは〇く〇オートで「スパーダの奴ほしい」と注文。ついでに純正のフォークオイルも注文。オイルが結構高く2800円くらい。でもホンダ純正でなく、ヤマハのならN海部品で1800円くらい。あとで御世話になってるSKGのサトウさんに聞いてみると「ホンダ純正のフォークオイルはとても高い。うちでも指定が無い限りヤマハの物を使ってます」との事でした。社外品がある事からも、純正にこだわる必要はなかったかな…
右はサービスマニュアルみたいなものの写真です。分解するとこんな感じです。 下は見事にオイルが漏れているところ |
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作業行程
まず前輪を持ち上げてフロントホイールをはずします。手で持ち上げるパワーは僕には無いのでジャッキを使います。スパーダはセンタースタンドがないです。 サイドスタンドを立てて、反対側のクランクケースのしたとか適当なところにジャッキを当てて持ち上げます。これで前輪は上がりますが、このままだと斜めだし、安定性に不安が残るので、この状態でバイクをジャッキに預けてサイドスタンドを地面から上に上げて、板かなんかを挟んでやります。そしてさらにジャッキをあげるとバイクはまっすぐになります。そこでクランクケースの下にブロックとかを挟んでジャッキを下げる。このようにブロックで支えてやると、安心して作業ができそうでしょ? 2人でやった方がいいですよ |
写っている怪しい人は吉野屋の牛丼で手伝ってくれることになったY本君。 |
フォークを車体からはずす前に、キャップボルトというのを緩めて置きます(はずさなくてよい)。フォークをはずした後だとうまく固定できない(パイプは丸いので…)ので緩めにくくなります。しかしスパーダではこのボルトが厄介で、17mmというBIGな六角レンチが要ります。でも僕は(ほとんど持ってる方いないでしょうが)そんなの持ってないので、Jフルホンダで55円でぴったりの大きさのボルトのようなものを買ってきて、右のように緩めました。(ちなみに17ミリの六角レンチは700円くらいです。) このボルトを思わずはずすとスプリングに押されてとボルトが飛んでくるので気をつけましょう。 |
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ホイールはずしたところです。フェンダーはうまくはずせませんでした。ここでブレーキキャリパーをぶら下げてはいけません。ぶらさっがってるように見えるのは気のせいです。 フォークをはずすには、ハンドルのボルトを緩めて、フォークの上のほうについている Cの字のクリップをはずし、ステムのボルト(左右で4個)を緩めてやると取れます。とれにくかったので、上からハンマーみたいなものでたたいてはずしました。サービスマニュアルでは、「ハンドルをはずせ」と書いてありますが、多分ワイヤーとかをはずさなくてはならず、面倒なのでハンドルがフォークに入ったままでやったほうがイイです。 |
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フォークをはずしたところ。ちょっと得意げになっています。ハンドルがぶら下がってます |
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先ほど緩めたキャップボルトをはずして、スプリング、スペーサー、 Oリング?とかを取り出して、フォークオイルを出します。オイルはオイルパックリとかできちんと処理しましょう。オイルは長年の使用で真っ黒! 予想どうりでした。特にオイルもれしていたほうはより黒かった。 |
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ダストシールをはずしたところです。ダストシールはマイナスドライバーとかではずします。このときパイプににきずをつけないようにしましょう。 |
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続いてクリップをはずします。細いマイナスドライバーとかでうまくはずしましょう。いやーよごれてますね。 |
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ボトムケースの下のボルトをはずします。ここはねじロックで固まってる(はず)です。ここをまわそうとすると・・ もちろんフォークがくるくる回っちゃいます。つかみ所も少ないので万力に固定したいところですが、それもないので、傷がつかないようになんか敷いて、足で押し付けながらはずしました。 フォークの分解ではここが結構難関だと思います。僕の場合は簡単でしたが、ねじロックが使ってあるとエアーインパクトレンチとかがないとつらいです。それは中の部品といっしょに空回りしてしまうからです。 バイクやサンではあたりまえのようにエアインパクトレンチではずすみたいです。キュイーンって… |
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そしてここからがかっこいいところです。ボトムケースとフォークパイプを強引に引っ張ってはずします。勢いをつけて衝撃的にはずしましょう。本当にこれでイイのか? などと弱気になってはいけません! 右では水平にしてますが、これだと力が入りにくいので多分外れません。たてにして、オイルに気を付けながらはずしましょう。みぎの人は結構力持ちなんですかね? |
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ばらばらになったところ。左上から ボトムケース、スプリング フォークパイプ、スペーサー ?、?、リング?、クリップ、オイルシール、ダストシール はずしたダストシールにはビニールみたいなごみが挟まってました。これが原因ですね。でもいつ入ったのだろう? オイルシールいれるときにビニール使うから・・ そのときからということは・・ 以前のショップのミス? |
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僕の場合、オイル漏れしてた方のフォークのスペーサーがさびてました。オイルが充満している(はずな)のにおかしいですね。でもほかはへいきでした。紙やすりやピカールでぴかぴかにしときました。 |
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ばらばらになったパーツを洗って(僕はクレ ブレークリーンで洗いました。約一本使用)元道理に組みます。組み方はサービスマニュアル見ながら慎重にやりました。右のズを参考にしてください。 フォークパイプについているカラー(抵抗を減らすための金属、今回はずす必要はないと思う)がついた状態のフォークパイプに、ネガティブスプリングがついた状態でダンパーのための?筒?(右から 2列目の下のやつ)とか、をいれ、パイプの下から飛び出たところにオイルロックピース?(真中の列の一番下の小さい筒)をつけて、これらをボトムケースに入れます。そしてボトムケースの下からボルトで固定します(左から2列目の下のやつ)。このときボルトはねじロックで固定することになっています。でも「エンスーのオフロードバイクメンテナンス」では何もぬってませんでした。ここを締めるとき、中身が空回りしてしまらないときがありますが、パイプを引っ張りながら締めればいけるはずです。それと、ねじロックで締めた後は、 うかつに緩めてはいけません。Iいや、そんなに大変じゃないかもしれないんですが、ねじロックがきいて閉めることもはずすことも困難になりますよ。エアーインパクトレンチがないとつらいです。僕ははずせなかったので、ここはお店でやってもらいました。ねじロックつけるかつけないかは、つけなくても充分固定はできまが、ショップでは確実にするためにねじロックするそうです。自分でまたはずす可能性があればつけなくていいんじゃないっすか? 僕はねじロックした後思わずはずそうとしたので困っちゃいました。いくつかのバイク店を回ったのですが、なんかはずしてもらえなくて、 YSPモトフェニックス筑波学園店にいったら、「ちょっと引っ張ってください」とエアーインパクトレンチで即座にはずしてもらえました。しかも無料で! YSP万歳 |
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ここまですると、右のようになっていると思います。そしてここにOリング?をいれ、新品のオイルシールを入れます。 |
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オイルシールをいれるときは、パイプのふちで傷がつかないように、パイプにビニールをかぶせます。そしてオイルシール、ビニールにグリスを塗っときます。パイプにさびが多いときは、そこに直接オイルシールが触れないように、うまくビニールとかラップでガードしときます。オイルシールはやさしくやさしく入れます。 |
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オイルシールをいれたら、それを圧入します。本当はスライドハンマー(5000円くらい)を使いますが、パイプよりちょっと太いビニールパイプで代用しました(170円くらい)。勢いをつけて均等になるようにいれます。 |
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入れた後はそこにグリスをたっぷり塗っときます。これがごみの進入を防いでくれます。この上からダストシールを入れます。これは手でも入ります。はみ出たグリスをふきましょう |
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そしてフォークを一番縮めた状態でフォークオイルを注ぎます。上から計って規定のレベルにしますが、これが結構微妙です。定規やノギスなどで測ります。スパーダは 103ミリです。いれるのは簡単ですが、抜き取るは面倒です。注射器があれば楽なんですが。ぼくはこんなノギスでやりました。 100円ショップで購入。先端にテープをつけると見やすい。(でもテープがフォークの中に落ちるかも)そしたらスプリングをいれます。巻きが密なほうが下になります。 |
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ワッシャーみたいなもの、スペーサー、キャップボルトの順で入れます。そして手で押しながらボルトを締めます。ここでは軽く締めるだけです。これで大体完成。 |
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車体に取り付けて、 4つのボルトで締めます。これはトルクレンチで締めます。特に倒立フォークの場合重要です。たかさは線が入っているのでそれにあわせます。続いてキャップボルトを締めます。C字のクリップつけて、ハンドルつけて出来上がり。ああっもう暗くなってる。 |
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オイル漏れを直して何が変わったかというと・…
といったところです。減衰が強くなればそれまでより動かなくなるのは当たり前です。でも、直す前と、直した後で、後のほうが走りやすいともいえません。どっちでもいいや。といった感じです。まあ、両方オイル漏れしてたらそれは問題ですが… 一番よくなったと感じるのは、オイルで汚れなくなったことかも。そして何より 25000円かかるところを格安でやったというお得感 |
見事にオイルが止まりました。 |